「地下鉄の駅はこっちやったかいなぁ?」


人ごみの中で何とはなしに耳に入った言葉を頼りに振り向く。


小さなおばあちゃん。


「はい、そうですよぉ」


よく見ると大きな買い物袋を4つも引きつづるように持ってはる。
こりゃゆかんと荷物を持ってあげることに。


・・相当重いよ、おばあちゃん・・


聞くと94歳!
足取りはしゃきしゃき!


だけどこの荷物は重すぎる。
お家もそう遠くないみたいだし
時間もあったのでお家までお送りすることに。


荷物を持ってあげた事を
おばあちゃんはえらく喜んでくれて
駅員さんやら、席を譲ってくれたおじちゃんやら、地デジ化を普及してるおっちゃやら
出会うヒト出会うヒトに
「このお譲ちゃんが大丸から荷物運んでくれてはってなぁ」
と話して回らはるから何とも気恥かしい・・


おばあちゃんは何故か茶道の話をし始めた。


「若いころに習ってたんやぁ。
せやけどそん時は遊びたかったから
あまんりちゃんと習わへんかったんや。
ちゃんと習といたらよかったんやけどなぁ。」


一緒に歩いた時間はそんなに長くなかったのに
その間に3回くらい後悔の念を。


心に響きます。


最後にはせっかく重たい思いして買わはった大荷物の中から
コロッケを取り出して「もろとくれやす」


必死に断るも頂くことに・・


いろいろありがとうね、おばあちゃん。