「おくりびと」オリジナルサウンドトラック
日常礼賛フィルムでした。


鴨川に木蓮が香り、御所に枝垂れ桜と桃が咲き乱れ、
下鴨さんが見守ってくれる日常に贅沢を見出した、
私。


スキャンダルがなくても
日常はつぶさに見つめれば見つめるほど
葛藤であり、喜びであり、ドラマチックだ。
明日はもっと日常を大切にしよう、
そう思わせてくれる優しさのある、
映画。


芳中の絵画の一つに、幾種かの花々が数本ずつ同じように描かれている
絵があった。
ひとつひとつの花は隣の花との違いを見せつけようなどとはしていなくて
それでも自ずとどこか異なっていって
美しかった。
特別であろうなど思わなくていいんだよ、
と語りかけてくれた、
芳中。


みんな、全然器用なんかじゃない。
上手く捉えられなくて、表現できなくて、
そんな登場人物たち。


不器用な世界で生きていることを認めて
肩のちからを抜いたら、もっと日常は優しいのだと思う。


生きていくことは、許していくことなのだと思う。


そんなことを教えてくれた、映画。


驚いたことがふたつ。


死は忌み嫌われるものだったんだね。
もっと愛おしい存在だと思っていた。


もうひとつは、この映画がアカデミー賞を獲得したこと。
金融危機を受けて、さすがのアメリカンも
象徴交換社会にへきへきとしたのかな。


なんて考えながら、それは私に起こっていることと大差ないな、なんて。


それでも、少ずつ循環し始めてるみたい。
少しでも、本質に近づきたい、
私。