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軽蔑
(1963年)
監督:ジャン・リュック・ゴダール
軽蔑。
それは、事故のようなものだ。
それが生まれてしまうなど、
加える者も、被る者も
思ってもみなかったのだ。
だからといって原因がなかったわけではない。
誰もがいくつかは持つ「過失」が
偶然的にある人の中で「軽蔑」として映る日がきてしまった、
それだけのこと。
その日は様々な事柄が繊細に絡み合った結果として来るから、
加える者も被る者も
驚きをもってその日を迎える。
「どうしてこんなことになってしまったのだろう」
互いがそう思う。
なのに、一度生まれてしまった軽蔑は
取り繕うとすればするほど
泥沼化してしまう。
それでは、どうすればよかったというのだろう。
軽蔑を被った者は
絡み合っている事象を気長に紐解き、省み、再構築を行う。
軽蔑を与えた者は
自らにおいても、それ程完璧さを持ち合わせていないことを認識する。
さもなくば、
軽蔑は決別しか生み出さない。