2009-09-17 ■ 読み人 平安時代の女性は「月」のようだったのだと、 彼は言う。 闇夜となれば、白い体を顕にする「月」。 ありふれた白も、闇の中では光源となった。 尊き、白。 闇に溶け込むことへの怖れもなければ、 太陽の光を受けて輝くことへの 驕りも、 恥じらいも、 ない。 太陽があるからこそ輝けることを まっすぐに認め、太陽とは異なる、 やわらかな光を静かに注ぐ。 満ちて、欠けて、 昇って、降りて。 静かに、息をするように。 すべからくを見つめ、 すべからくを認めよ。