「ちいさい時はね、
寝る前にはいつもママがおふとんの中で絵本を読んでくれたの。
でもね、読み終わると『おやすみ』ってでていっちゃうの。
それがいやで、
ママが出ていこうとすると弟とこうやってママの腕にしがみついてた。」
何気ない思い出話に彼は「悲しい思い出だね」と言った。
何故かあふれ出る涙に「悲しくなってきちゃった」と呟いた。
「今は俺が隣にいるよ」
その言葉にすがりつくほど、私は幼くはなく、
ただその出来事が悲しい出来事であったのだと気づかされた事に
私は癒された気がした。
彼の腕の中は心地いい。