深い河(ディープ・リバー) (講談社文庫) [ 遠藤周作 ]
偶然キリスト教に捉ってしまっただけで
宗教を越えた「神」を信仰する大津は
旅先で教会もモスクも訪れた私にとって
理解しやすい存在だった。
私は信者ではなかったけれど
どの祈りの場においても
「聖なるもの」を感じずにはいられなかったから。


印象的なのは美津子。
彼女は「真似事」と称して
愛し、祈る。
それは
その行為が純粋そのものでない事を
知っているからだと思う。
でも、
それでいいのだと思う。
彼女はそれが「真似事」であると
気づいてしまっただけであり
多くの人が
愛や祈りを模倣しているのではないだろうか。
その中で「本物」を見つければ
それでいいのだと
私は思う。