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どうしてだろう。
今から想えば、当時の私は「真っ只中」だったのに。
そうだ。
私は自らのディタッチメントにも
損なわれていることにも
気付いてさえいなかったんだ。
だから「真っ只中」の主人公達に送られているメッセージの意味も
理解出来なかった。
この小説の救いは
主人公の渡辺君だ。
彼はディタッチメントの人だし、損なわれているが、
生き続けるコトに決めたし、それを実行している。
それはキレイごとだけじゃ達成出来ない。
キレイごとだけじゃない自分を許すコトを認めるのが、
「大人」になることなのだと思う。
「大人」になるコトを心からはなかなか喜べないけれど、
それよりも「大人」になってでも
生き続けることが、
よっぽど大切なのだ。
渡辺君は「大人」になって、生きるのだ。
そういえば、その種の死臭は
いつの間にか私から皆遠ざかっていった。
そもそもどれ一つとして私の物ではなかったのだから、
当たり前なのかもしれない。
私もこーやって「大人」になっていく。